「髪結い伊三次捕物余話」は宇江佐真理さんのシリーズものです。
1作目「幻の声」から最終巻「竈河岸」までの15巻。
本日読み終えたのはシリーズ13作目の「名もなき日々を」。
1作目では主人公である伊三次が回り髪結いをしながら同心の小者としての役目もこなす様子が描かれていました。
それから13作目までの間に伊三次と恋人だったお文は夫婦になり、子もでき、その子供たちも大きくなりました。
「名もなき日々を」はこのシリーズのなかで初めて涙した場面があります。
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13作目では伊三次が小者として仕えている不破友之進(北町奉行所の臨時廻り同心)に孫が誕生します。
息子のお嫁さんは一度は懐妊したものの流産を経験していてそれを乗り越えての孫の誕生する場面。
生まれてきてくれた孫を腕に抱き「何かお言葉をかけてあげて下さいまし」と言われた不破友之進が孫にかける言葉。
それを読んでこのシリーズ初の涙がポロリ。
髪結い伊三次シリーズは時代物(江戸時代)の人情物に分類されると自分では感じていますが、13作目のこの場面まで涙が出たことはありませんでした。
シリーズものを読み続けていると主人公もその周りの人物もどんどん様変わりしていきます。時間が経ってるんですね。
それを読み続けていると登場人物たちの人生を一緒になってみている、感じている。
それがあっての初ポロリ。
シリーズものをよむ醍醐味を味わえた良い日となりました。
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